日経平均株価が 21,000 円の壁を越えた。今年の年初来高値、安倍政権発足以来の高値更新、1990 年代前半以来約 20 年ぶりの高値更新で、証券界には安堵と祝賀の空気が流れている。
しかし、考えてもみれば不思議な話だ。そもそも世界中の株価は史上最高値を更新し続けている。その原動力は、米国と中国に牽引される好調な世界経済で、日本もその恩恵を十分に受けている。
従って日本企業の企業収益は絶好調だ。政治的には衆議院解散前の安倍政権の支持率は低下傾向にあり不安感が高まってはいた。しかし、日本より政治不安が深刻な米国や韓国の株価は史上最高値を更新し続けている。
北朝鮮のリスクについても、日本よりリスクの高い韓国の株価は好調だ。ここは大事なポイントなので詳述するが、韓国のリスクが高いと見られる客観的な事実として、2010 年のチョンアン号撃沈事件、2011 年のミョンピョン島砲撃事件が挙げられる。
共に韓国政府が落ち着いた対応をしたため事件として扱われているが、事実としてはほぼ戦闘行為だった。足元の危機についても、様々なシミュレーションがだされているが、真っ先に挙げられるのはソウルでの人的被害の推計だ。
ではなぜ日本株は出遅れたのか。そこで図の通り世界の株価の推移を 2016 年末を1として指数化して比較すると、日本株は 4-5 月と 8-9 月の落ち込みが大きかったことが確認できる。共に北朝鮮のリスクが高まった局面だ。この局面で日本と韓国の政府は対照的なスタンスの違いを見せた。
一言で言うなら、日本では危機感が高まっ
たが、韓国では落ち着くことが呼びかけられた。韓国の一部メディアは、日本で無理に危機感が煽られたと批判さえした。日本でも一部の政治学者は、日本政府の対応を「(危機が)クルクル(来る来る)詐欺」と呼んで批判する。
この問題は今後の日本株を見るためにも重要
だ。というのも、北朝鮮の脅威は何も変わって
いない。また、解散総選挙の理由として、自民
党筋からは年明け以降に危機が高まる可能性も示唆されている。「二度あることは三度(以上)ある」と見るのが自然だろう。
金融市場は世界共通の因子とその国独自の因子の2つの要因で動く。北朝鮮の脅威を日本独自の因子ではなく世界共通の因子に位置づけ、広く世界に目を開くことが肝要だろう。
以上
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