2018年3月16日金曜日

さっきの続き:円高でも増益

さっきの続きです

日経新聞:
外国為替市場がにわかに慌ただしい。円は17日、対ドルで一時110円19銭を付け、4カ月ぶりの水準に上昇した。これはちょうど、日銀の企業短期経済観測調査(短観)による大企業製造業の今期の想定為替レート、1ドル=110円18銭と同水準。ここから一段と円高が加速するようなら、日本企業の今期の2ケタ増益シナリオに狂いが生じかねない。
外国にモノを売って稼ぐ輸出企業が多い日本経済にとって、円高は「天敵」。同じ1億ドル稼いでも、1ドル=100円換算なら100億円を計上できるところ、1ドル=80円の円高下では80億円に目減りする。トヨタ自動車の営業利益が「1円の円高で400億円違ってくる」というのは有名な話だ。



ところが、ところが――。決算探偵団は今回、円ドル相場と企業業績の関係を過去20年分に遡って調べてみた。すると、星取表で言えば「8勝3敗」。結果は意外なものだった。
1998年度から2017年度(予想)まで20年度分の決算で前年度よりも平均の円ドル相場が上昇、つまり円高に振れたのは計11回あった。そしてその11回中、イメージ通りに減益(=黒星)だったのは、わずか3回。残り8回は「円高でも増益」の白星だった。

なぜだろう。まず考えられるのは為替以外の要因の影響だ。「原油などの資源価格や、米国・中国をはじめとする他国の景気など、為替以外の要因も企業業績を左右する」(大和証券の高橋和宏株式上席ストラテジスト)。例えば、15年度のドル円相場は平均1ドル=120円強と前の期から約10円も円安・ドル高になったにもかかわらず、企業業績は3%の最終減益。資源価格の下落や新興国経済の低迷で、商社や非鉄金属、海運などの業績悪化が全体の足を引っ張った。


企業努力の結果、年々、日本企業の「円高抵抗力」が高まっている側面もある。対ドルで1円の変動が主要企業の経常利益に与える影響は、09年3月時点では0.98%だった(大和証券調べ)。つまり1円円高になる度、全体の経常利益は1%近く減っていた。それが昨年末時点では0.41%と、影響が半減している。
為替の影響を低下させるには、日本に閉じこもらず世界規模で考えるに限る。代表例が海外生産。先陣を切った自動車の海外生産比率は特に高く、ホンダ日産自動車の海外生産比率は8割を突破している。米国でつくり米国で売れば為替変動の影響を受けずに済む。経済産業省によると、国内製造業全体の生産量に占める海外生産比率は15年度に25.3%と過去最高に高まった。

また、製品に競争力がある場合、円建て取引で為替リスクを相手方に背負わせる手もある。例えばファナックは、工作機械の頭脳となる数値制御装置で世界トップシェアを握り、多くを円建てで輸出している。いすゞ自動車も新興国向けトラックを円建てで取引する。円が下がろうが、上がろうが対岸の火事でいられるわけだ。
さらに、世界のお金の流れを管理し、外貨建て債権・債務を相殺するなどのファイナンス手法も役立つ。「マリー(marry)」と呼ばれる手法では、輸出で得た外貨をそのまま外貨の支払いに充てることで、為替の影響を相殺する。債権・債務が拮抗する限り、為替影響はゼロだ。先頭を行くソニーは、世界約1300もの子会社を束ね、必要な資金をグループ内で融通するシステムを構築した。かつて1円の円高はソニーの営業利益を80億円押し下げていたが、今では逆に35億円の増益要因になるという。

今回、決算探偵団は発見した――。円高、必ずしも減益ならず。その陰にはたゆまぬ企業努力があった。(遠藤賢介)

つまるところ、円高も重要な要素であるが世界の経済環境の方が遥かに重要だということ、ですね。


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