The Trouble With Those Can’t-Miss Trades.
「実に静かだ、静か過ぎる」——とは、ジョン・ウェインの”テキサスの幸運な男(The Lucky Texan)”などをはじめとした映画の名台詞だ。足元の市場環境も同様で、世界各国の株式市場は過去最高値を更新するか、最高値近くで推移するなかで、その上昇は異例なほどスムーズで5%の下落を経験しないままできている。国内政治の問題や国際間の地政学的リスクなど、織り込み済みなのか見向きもしていない。
こうした環境下、スマートな投資家はルースホールド・グループのスコット・オプサル氏が言うところの”最新の確実な取引”にシフトしているという。S&P500のオプション取引で算出され、恐怖指数と呼ばれるVIXのショートに賭けており、実際にVIXは2週間前に過去最低を更新し13日には10割れで取引を終えた。
こうした環境下、スマートな投資家はルースホールド・グループのスコット・オプサル氏が言うところの”最新の確実な取引”にシフトしているという。S&P500のオプション取引で算出され、恐怖指数と呼ばれるVIXのショートに賭けており、実際にVIXは2週間前に過去最低を更新し13日には10割れで取引を終えた。
過去の”確実な取引”リストを振り返ると1970年代はニフティ50のグロース株投資、1990年代のドットコム銘柄、2000年代の住宅関連などが挙げられる。
CFTCのデータによると、VIXの先物取引つまり短期先物指数に連動する商品はショートに傾いている。なぜかと言えば、その特性にある。”コンタンゴ”、つまり期先の限月の高く、期近の限月が安くなる状態を指すが、VIXの先物取引は頻繁に危機が発生するわけではないので、この状態が長い。ロールオーバーに合わせ、ショートのポジションが増えるのが自然というわけだ。iPath S&P 500 VIX Short-Term Futures(VXX)やVelocityShares Daily Inverse VIX Short-Term(XIV)で、その傾向が見て取れる。前者のリターンは過去2年間に91%のマイナスだが、後者はVIXが下がった時にリターンを上げるので320%高を遂げてきた。
VIXのショート取引は原油先物が底打ちした2016年2月以降、Fedの利上げでも成長率や金利上昇が振るわないなか、トレンドになった。その2016年2月は、20カ国・地域(G20)財務大臣中央銀行総裁会議が開催された時でもある。当時は米連邦準備制度理事会(FRB)や中国人民銀行、欧州中央銀行(ECB)、日銀が為替レートの安定と共にドル高加速阻止を狙うことで、原油先物の下落を食い止めたとの説が流れたものだ。2016年2月以降、S&P500は40%高を達成し、VIX指数はその陰で下落をたどってきた。
しかし、”確実な取引”に翳りが見えている。XIVは8月にVIX指数が9.93から15.55へ上昇した時、10日間で25%下落した。同様に、モルガン・スタンレーのクリストファー・メトリ氏は、S&P500が1日で5%安を迎えるならば、40万枚のVIX先物が買われなければならないと分析する。それだけ、”確実な取引”に資金が流入したということだ。
言い換えるなら、強気相場が反転するなかでVIXの買いが膨らみかねず、それは1987年にブラック・マンデーを引き起こしたポートフォリオ・インシュランスの21世紀版となるだろう。あるいは10年前の住宅ローン担保証券に対するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、1998年のロシア危機前に各国の国債利回りスプレッドに賭けたLTCMの時のような取引になりうる。
Fedが過去4回の利上げを行い、12月12〜13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの追加利上げ確率が73.3%に及ぶというのに、ボラティリティは低水準にある。同様に、米消費者物価指数もコアで前年比1.7%と、Fedのインフレ目標値2%に届かない状況だ。Fedが好むコアPCEデフレーターも、年初の1.9%から1.3%まで鈍化している。パイパー・ジャフレーのシニア・エコノメトリック・ストラテジストのディミトリ・デリス氏によれば、利上げは過剰に高い株価やその他金融市場に対する抑制手段だという。同氏いわく、Fedは「資産バブルの指摘が難しい一方で、資産価格上昇のソフトランディングを目指し軟調な経済指標が出てきたとしても利上げし続ける」見通しだ。
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