⚫米国株式市場の見通しを引き上げ:ブラックロック
ブラックロックは米国株式に対する短中期的な見通しを「中立」から「オーバーウエイト」に引き上げました。実施される予定の財政刺激策によって、企業の利益成長に対する期待が大きく引き上げられるとみているためです。
一方で、欧州の株式に対する見方を「オーバーウエイト」から「中立」に引き下げました。業績のモメンタム(勢い)はしっかりしているものの、株価は他の地域よりも出遅れると考えています。
今回の引き上げの背景には、企業業績の増加に支えられた、ファンダメンタルズの改善があります。さらに、2月の株式市場の急落によって米国株のバリュエーションがわずかながら魅力的な水準になったとみており、新たな材料が加わりました。底堅い景気を背景に、業績のモメンタムのトーンは既に変化しているとみていますが、減税と財政支出計画によってその傾向に拍車がかかったと考えています。P2の図は、アナリストによる米国企業の業績予想の上方修正が、景気刺激策を織り込む中で、増加していることを示しています。米国企業の、下方修正に対する上方修正の比率は1988年のデータ取得開始以来、最高の水準となっています。上方修正はグローバルにみられる動きですが、その中でも米国の強さはそのトレンドを上回っています。
なお日本においては、見直しの幅が大きいのは、その他の国と比較すると特異な現象です。ブラックロックは米国の企業業績のモメンタムが当面続き、リターンの向上につながるとみています。
米国の企業業績のモメンタムは景気拡大を背景として、減税や財政刺激策が発表される前から既に強い状態にあったとみています。S&P500種指数の利益成長率は2017年10-12月期時点で、前年比15%、売上高成長率は2011年の7-9月期以来で最も高い水準にありました。
およそ6割の構成企業が2018年について、アナリスト予想を上回る業績見通しを発表しました。直近数四半期には、失望的な業績を発表した企業の株式が大きく売られる場面があり、企業側には保守的な業績ガイダンスを発表するインセンティブが働いていたと思われます。米国企業の2018年の利益成長率予想は、アナリストが業績見通しと景気刺激策の恩恵を盛り込む中で、7%ポイント以上引き上げられ、19%となりました。米国株は既に2月初めの下落分の大半を回復していますが、新しい税制と財政支出のポジティブな効果は依然市場に過小評価されているとみています。バリュエーションは依然として過去のレンジの上限近くにあり、米国や他の地域のバリュエーション指標がさらに上昇する余地はあまりないと考えています。しかし、ブラックロックは今回の長い強気相場における現段階では、短期的にはバリュエーションよりも利益成長の方が重視されるとみています。
過去と比較しても非常に長い景気拡大局面の9年目にあたり、その景気サイクルには持続余地がある中で、金利が次第に上昇しインフレも緩やかに上昇するとみています。ブラックロックは、EPS(一株あたり利益)や配当の成長が株式のリターン向上につながると考えています。一部の企業は税制優遇を利用し、自社株買戻しや配当を選択するか、または、設備投資を拡大する企業もあるでしょう。M&Aがさらに活発になる余地も大きいと考えています。
ではリスクは何でしょうか。インフレ圧力が強まり、利益率を圧迫し、実質金利が上昇すれば、バリュエーション指標は低下するかもしれません。一方で、税制改革の恩恵は利益を守る
バッファとなるでしょう。株式全般に対し、ブラックロックは引き続き魅力度が高いと考えています。
欧州株については、堅調なリターンが見込めると考えていますが、他の地域と比較し利益成長
率が低ければ、短期的には伸び悩む可能性があるかもしれません。新興国株は引き続き選好しています。米国では、モメンタムファクターとバリューファクター※、金融と情報技術セクターを選好します。
※ファクターは資産価格の変動要因といわれています。文中のモメンタムは直近上昇しているような銘柄、バリューとはバリュエーション指標からみて割安な銘柄をさします。
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宮田直彦さん(MUMS)
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