日経新聞 豊島逸夫さん:
最近、欧米市場関係者と話していると、メルトアップという単語を耳にする。一時はメルトダウンが懸念された米ドルや日本株だが、逆転の発想でメルトアップだってあるのではないかと語られる。
メルトアップとは、ある資産クラスに突然投資家が殺到し、想定外で劇的な投資パフォーマンスの改善が生じる現象を指す。似た考えに、ポジティブなブラックスワンもある。ブラックスワンとは、以前からの経験や認識では予想できない現象のことで、主として100年に一度と言われるリーマンショックのようなネガティブな経済危機のことを意味する。しかし、ポジティブなブラックスワンだってあり得るのではないか、とする逆転の発想もあるのだ。
例えば、インターネット革命。90年代には想像もできなかった現象が、今や世界の人たちの生活まで変えている。ハリー・ポッターの出現なども、この範囲に入るかもしれないが、通常は革命的な技術革新などが念頭に置かれているようだ。
金投資を正当化する理由として、テールリスクのヘッジということがしばしば語られる。テールリスクとは、発生確率は低いが、生じると大きな損失のことだ。100年に一度と言われるような経済危機に備え、「有事に強い金」をポートフォリオに組み込んでおくという考えである。
そこで、逆転の発想として、100年に一度の「突然の噴火」に備え、「休火山状態の資産クラス」をポートフォリオに組み込んでおくことにも意味があるのではないか。
10年前に金価格は250ドル。グラム900円台まで売り込まれた。90年代は金相場の休火山状態が続き「有事の金の輝きはうせた」といわれたものだ。当時、10年後に世界の投資家が殺到して1700ドルとか4500円にまで相場が反騰するという可能性は、まさにポジティブなブラックスワンであった。そんな数々の金相場の修羅場を潜り抜けてきたプロゆえに、個人的な資産運用になると、今は日本株に食指が動くのだ。
何が起こるか分からない時代である。
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