2017年11月29日水曜日

大外れだった17年相場予想、ほぼ全てが真逆 (WSJ)

大外れだった17年相場予想、ほぼ全てが真逆(WSJ)


年末恒例の相場予想での間違いから学ぶべき大きな教訓は2つある。1つ目は、価格が向かう方向について全員の予想が一致した場合、危険だということ。2つ目はもっとニュアンス的なことだが、経済の動きについてわれわれが持っている知識は、自分が考えるよりはるかに少ないということ。
 昨年、ほとんどの人が「リフレトレード」の見通しについて強気だった。賃上げやドナルド・トランプ氏が公約に掲げる減税を追い風に債券安と株高、ドル高が進むという見方だ。
 1年が過ぎたが、インフレは実現しておらず、減税案は議会審議が難航している。ほぼ全てのアナリストの予想が外れた。10年物米国債利回りは上昇ではなく低下し、ドルも予想とは反対に下落した。S&P500種指数は最も強気なアナリスト予想の2倍を超える上昇幅を記録した。

大半のストラテジストは肩をすくめて18年の予想に取りかかった。これまでに出ている予想を見ると、株式相場の上昇が続く一方で、以前の予想ほどではないとしても債券利回りがやっと上昇し始めるというのが18年のシナリオのようだ。

皮肉屋は過去に起きたことを考え、気にする人などいるものかと首をかしげるだろう。これまでの予想的中率はひどいもので、予想自体も悲しいまでにありきたりだった。
 コンセンサス・エコノミクスがまとめた予想によると、米国債利回りは過去10年にわたり毎年、上昇が予想されてきたが、低下した年の方が多い。上昇した場合でも、予想に近い上昇幅に達したのは09年の1回だけだ。投資を計画する際にダーツ盤を使うのはやめよう。平均するとコイン投げの方が的中率は高い。

株価についても状況は似たようなものだ。ストラテジストらのS&P500種指数の平均予想と実際の結果が近かったのはわずかな回数にとどまる。2000年以降の半分以上の年において、予想と実際の結果の差が同指数の長期的な年間上昇率である9%より大きかった。
 とはいえ、予想が外れるのはエコノミストらのせいではない。市場が機能しているときにはすでに平均予想が市場に織り込まれているため、市場を予想するには経済などのファンダメンタルズ(基礎的諸条件)や平均予想が変わる時期を見極める必要がある。どちらも予測はほぼ不可能だ。

M&Gのファンドマネジャー、エリック・ロナガン氏は「二重の意味でばかげている。(イベントに伴い)何が起きるかは予想できないし、たとえ偶然に予想が当たったとしても、投資をするときには役に立たない」と述べた。
 今年は1つの典型的な例と言える。アナリストらはトランプ氏による減税やインフレ加速に伴い株価は堅調に推移すると考えていた。また、政治的・地政学的不確実性を背景に相場変動が拡大するとの見方も多かった。少なくとも今のところ減税やインフレについての予想は外れたが、株価はいずれにせよ上昇した。政治的・地政学的不確実性については予想通りだったが、大きな値動きは見られなかった。
 今年の予想が当たらなかった元凶はインフレが生じなかったことだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は低インフレを「謎」だと指摘している。まずまずの経済成長を追い風に企業利益や株価が押し上げられたにもかかわらず、月日を経るに従って投資家は次第に、今後も低インフレが続いて長期債利回りやドルは下落するとの確信を強めた。

ドイツ銀行の外為調査部門グローバル共同責任者、アラン・ラスキン氏は他の多くのエコノミストと同様、投資家に対し「アメリカンドリーム」の実現を見込むドル買いポジションを取るよう推奨した。誰もがトランプ氏の政策に期待したポジションを取っていたことを考慮しなかったことが間違いの1つだったと同氏は言う。市場の見方が広く一致していたため、政策が実行されずに予想が外れた場合のリスクが非常に大きくなった。
 ラスキン氏は今年に入って債券利回りが上昇していないことから興味深い教訓を引き出した。FRBが保有する4兆ドルの債券が利回りを抑えたというのが同氏の見解だ。言い換えれば、FRBが売買する債券の額よりもFRBの債券保有高の方が重要ということだ。債券買い入れ策について中銀は数年来、フローよりストックが重要と述べてきたが、投資家はフローに注目する傾向がある。

強いコンセンサスは警戒すべき危険信号だ。とはいえ、エコノミストらの年末予想リポートは、相場の予想水準ではなくその分析にこそ価値がある。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

宮田直彦さん(MUMS)

(底入れか) 4 月 27 日に 127.41%だった TOPIX 騰落レシオ(25 日)は低下傾向(5 月 30 日は 94.23%)。またこの日の日経平均RSI(14 日)は 37.8%へ低下した(5 月中旬には 70%を超えていた)。TOPIX は一時 1731 まで下げ...