株、続く「VIXショック」
2万1000円巡る攻防
2018/02/09 15:23 日経速報ニュース
9日の日経平均株価は再び急落し、終値は前日比2.3%安の2万1382円となった。米市場に端を発した株価の変動率上昇が相場を下落させた「VIXショック」の第2波を受け、午前に前日比一時771円安まで売られる場面があったが、午後はやや下げ幅を縮小した。市場では2月6日の場中に付けた2万1078円を維持したことを安堵する声もある。目先の警戒感は根強いが、VIXショックはいったん和らぐとの指摘がある。
日経平均は午前11時15分に付けた2万1119円の安値を下回らずに終えた。1000円超安だった6日は午後に下げ幅を拡大させたが、国内機関投資家などの押し目買いが下支えした。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮田直彦氏は「重要な節目がある2万1000円を割り込まなかったことの意味は大きい」と指摘する。
2万1000円は200日移動平均(9日時点)が位置するほか、予想PER(株価収益率)が13倍を割れる水準でもある。前回、予想PERが13倍を下回ったのは2016年7月。英国の欧州連合(EU)離脱決定(Brexit=ブレグジット)で世界の金融市場が混乱した時期だ。宮田氏は「現在の債券や為替市場の動きを見ていると当時ほどのリスクオフムードはなく、一段と安値を追う展開は考えにくい」と語る。
個別に銘柄を物色して投資する「アクティブ投資家」は積極的に買い向かっている。スパークス・アセット・マネジメントの秋山史人氏は「16年のブレグジットや米大統領選挙など予想PERが13倍台の局面は振り返れば買い場だった。企業価値の変化がなければ今は買いのチャンスが広がっていると言える」と語る。相場全体に引きずられて安くなったハイテク株など好業績株を物色しているという。
実際、企業業績は好調だ。日本経済新聞の8日までの集計では18年3月期の上場企業の経常利益は前年度比15%増える見通し。為替市場で1ドル=110円を超える円高が進行したことで来年度の円安効果縮小への懸念があるが、「数量ベースでの成長が続くため足元の為替水準であっても増益基調に変わりない」(大和証券の鈴木政博氏)との見方がある。9日は日中に18年3月期業績の上方修正を発表したバンダイナムコホールディングスが一時11%高まで買われた。前日に増配を発表した資生堂も4%上昇。相場が崩れる中でも東証1部の1割の銘柄はしぶとく上昇した。
8日時点の空売りの比率は45.7%で、ブレグジットの2016年6月以来の高さとなった。統計発表の始まった08年11月以降、2番目の高さだ。将来の買い戻しのマグマはたまっており、近く相場が反転するとの期待がある。
米株式市場の激しい変動が続き、つられて日本株も値動きが大きくなるリスクは残る。ただ、「日本株も1カ月ほどで年初に付けた高値水準に戻る」(マネックス証券の広木隆氏)との声は少なくない。
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