●好調だった世界経済
2017 年は欧米経済が好調だった。特にユーロ圏はフランス大統領選で親EU派のマクロン氏当選等による政治的不安の後退などもあり、17 年ぶりの水準まで製造業の景況感が上昇した。米国のISM製造業景況指数も 13 年ぶりの水準まで上昇し、景気は堅調だったといえる。
これを受けて日本も、欧米に比べてペースが緩いが、景気は拡大している。一方、不動産市場を中心に警戒が強まっている中国経済は、金融市場が引き締め方向に進んでいるものの、実体経済は今のところ持ちこたえている。
こうした中、2017 年の日本経済を一言で表現すると、好調な海外経済やそれに伴う円安の進展などにより、大企業を中心に企業業績は最高益を更新したものの、企業の慎重姿勢により利益の分配活動が不十分だったということだろう。
好調な企業業績を反映して、日経平均株価もバブル崩壊以降の最高値を更新した。それなのに景気回復の実感が乏しかったのは、好調な企業業績の割に賃上げ率が低下したことがある。また、年明けから上昇に転じた消費者物価も、家計の消費行動に対する慎重姿勢を誘発した可能性がある。
●買い替えサイクル到来で耐久財消費に期待
2018 年は耐久財の買い替えサイクルに伴う需要効果も期待できると思われる。内閣府の消費動向調査によれば、テレビと自動車の平均使用年数は 9 年程度となっている。テレビや自動車の販売は2014 年 4 月の消費税率引き上げ前に駆け込み需要で盛り上がったが、更に前に遡ると、2009 年度~2010 年度にかけても販売が盛り上がっている。
背景には、リーマン・ショック後の景気悪化を受けて、麻生政権下でエコカー補助金や家電エコポイント政策が打ち出されたことがある。これで自動車やエコポイントの対象となったテレビ、冷蔵庫、エアコンの駆け込み需要が発生した。2018 年は 9年目を迎えることから、その時に販売された自動車やテレビの買い替え需要が期待される。
特にテレビに関しては、2011 年 7 月の地デジ化に向けてかなり販売が盛り上がったため、買い替え需要は積み上がっていることが期待される。2019 年 10 月に消費税率引き上げが控えていることも、買い替え需要の顕在化を後押しする可能性があるだろう。
さらに、2018 年に開催される冬季五輪やサッカーワールドカップ、2019 年のラグビーワールドカップ、そして 2020 年に東京五輪が控えていることも市場を盛り上げる要因になり、テレビの買い替え需要を促す可能性もあるだろう。
結果として、2018 年に期待される賃上げは、耐久財消費市場を活性化させる可能性が高いだろう。