2017年10月7日土曜日

週末読書:雇用統計と利上げの見解(WSJ)

WSJ:FRB年内利上げ、雇用減でも見通し変わらず



9月の米雇用統計はハリケーンの影響で就業者数が7年ぶりに減少したが、連邦準備制度理事会(FRB)が気に病むことはなさそうだ。

 むしろ、FRB当局者は労働市場の改善を示す他の兆候に着目し、年内の追加利上げ路線を維持する公算が大きい。

 9月の失業率は4.2%と2001年初め以来の低水準をつけ、労働参加率は上昇した。これは労働市場のスラック(需給の緩み)がFRBの推計より多い可能性を示唆している。今年に入りインフレが目立って低迷してきた理由ともなり得るため、FRB当局者が向こう数年の利上げペースを考え直す一因になるかもしれない。

大型ハリケーン「ハービー」と「イルマ」の影響による雇用減を除けば、9月の統計は極めて堅調だ。

 生産年齢人口に対する就業者と求職活動中の成人の割合を示す労働参加率は、前月の62.9%から63.1%へ上昇した。さらに、米労働省によれば9月の就業率(全人口に対する就業者の比率)は60.4%と、約8年ぶりの高水準に達した。

 総じて、9月の失業者数は8月から33万1000人減少し、同時に労働人口が57万5000人増えた。

 雇用改善は米社会全般に広がっている。アフリカ系米国人の失業率は7%に低下し、2000年以来の低水準となった。労働参加率は前月の62.2%から62.6%へ上昇した。

 FRBの経済モデルに基づけば、これほど力強い労働市場と安定的な経済成長は消費者物価の上昇を加速させるはずだ。だが、FRBが重視するインフレ指標の個人消費支出(PCE)価格指数はここ3カ月ほど、目標の2%を大幅に下回る1.4%近辺で足踏みしている。

 ジャネット・イエレン議長は、最近のインフレ動向は「謎」だと一度ならず述べている。

今回の雇用統計は一つの答えになるかもしれない。労働市場がこれほど多くの新たな働き手を吸収できるとすれば、完全雇用状態ではない可能性がある。FRBは失業率が4.6%であれば完全雇用状態に一致すると想定している。だが今月の統計は、完全雇用に相当する失業率はそれより低いのかもしれず、労働市場にさらなる拡大の余地がある可能性を示唆している。

 イエレン氏は先週、オハイオ州クリーブランドでの講演でそうした可能性に言及した。

 「労働市場環境は見かけほど引き締まっていない可能性があり、インフレへの上昇圧力は期待されるより弱いかもしれない」と指摘した。

 イエレン氏は過去10年で労働市場の構成が変わったことについて、完全雇用を反映する失業率がFRBの想定を下回る水準になることを意味する可能性があるとし、「仮にそうであれば、経済は長期的により高い水準の雇用と生産を維持できる」との見方を示した。

 これは経済全体そして職探し中の人々、とりわけアフリカ系米国人にとって朗報だ。米人口の属性別で見ると、アフリカ系米国人はリセッション(景気後退)からの回復が最も遅いグループに入る傾向がある。

 こうした流れはFRBに利上げ計画の見直しを迫る可能性がある。

 2015年以降、労働市場の引き締まりに伴うインフレ上昇を見込み、FRBは短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を徐々に引き上げてきた。イエレン氏は、雇用市場が予想ほど強くないと分かった場合、今後数年の利上げペースを後退させるかもしれないと述べている。FRB当局者は9月の段階ですでに、長期の金利予測を従来の3%から2.8%へ下方修正している。

 もっとも、イエレン氏はまだそうした見通しを積極的に受け入れるつもりはないことも明確にしている。ただ、可能性も排除はしておらず、「こうした指標からいかなる最終判断も導き出すことはできない」と結論づけた。

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