もう一つ重要なのは、11月というタイミングである。ヘッジファンドの解約対応売りについては御伝えした通りだが、12月末はペンション・ファンド(海外年金基金)の決算もある。ちょうどこの時期は日本企業の2~3月に相当
し、決算のランディングを確定するシーズンである。今期だけではなく、来期の運用に備えてポートフォリオのリバランスも行う季節なのだ。
既述の半導体を始めとするハイテクの好調セクターは、株価上昇もあって時価ベースの組み入れ比率は、かなりのオーバーウェイトになっているはずだ。したがって、今年の好調組を売る一方で、不振組を買入れる「リターン・リバーサル」が行われるケースが多い。
米国のS&P500種産業グループ株指数(24業種)を見ると、年初来パフォーマンスのトップは①テクノロジー・ハード+38.9%、②半導体・同製造装置+37.4%、③ソフトウェア+35.8%だが、逆にワーストは①電気通信サービス▲11.1%、②エネルギー▲8.2%、③メディア+2.6%である。
ちなみにS&P500種は+18.3%だ(11/30時点)。ところが、過去5日間を見ると、半導体、テクノロジー・ハードがワーストになり、ベストには電気通信サービスが2位に入っている。
低迷を続けたアパレルや百貨店も、足下では良好だ。パウエル次期FRB議長の金融規制緩和発言もあって、銀行、各種金融も好調に推移している(グラフ7)。どう見ても、決算前特有の
「逆転現象」が起こっていると言わざるを得ない。
った(グラフ8)。ところが、11/27~11/30の期間では、ワーストに電機▲2.5%、その他製品▲2.0%とツー・トップが、そのまま最悪に逆転している。
そしてベストでも、証券が4位+3.7%、8位銀行+3.1%、9位電気・ガス+2.8%の逆転だ(グラフ9)。こうした日米の業種別騰落率の「逆転現象」を見ると、海外ファンドの決算前特有の動きと思わざるを得ない。外国人の日本株売買シェアは7割前後で、影響は甚大だ。
言葉を換えれば、抜群の年初来パフォーマ
ンスを挙げたグロース株を売って、低迷していたバリュー株を買う動きと言っても良い。加えて、「ロング&ショート」型の運用を行うヘッジファンドは、端的に「半導体・FA買い=金融売り」のポジションのアンワインド(逆転)を行っている可能性も高い。こうした特有の動きが、「好調組売り=不振組買い」の歪なトレードに繋がっているものと思われる。
しかし、これはあくまでも季節限定の動きだ。ポートフォリオのリバランスや、ポジションのアンワインドが一巡すれば、株価は再びファンダメンタルズの評価を反映する順な展開となる可能性が高い。
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