2018年3月30日金曜日

(日経新聞)海外勢の2兆円売り、期末要因が影響か 市場外で高水準の売買

仙石誠さん(東海東京):

例年4月と10月には本国口座に持ち高を戻す逆のクロス取引による現物買いや配当再投資の買いが入ることにより、海外勢は買い越しになりやすい。

(日経)
海外投資家による株式の売買動向を示す統計を受け、金融市場の一部で外国人の需給動向に対する悲観的な見方が出ている。財務省の統計で3月第3週(18~24日)に海外勢による日本株の売越額が集計開始以来、週間で最大になったことがきっかけ。もっとも税制上の理由による季節的な取引の影響も大きかったとみられ、「真水」の売りが必ずしも記録的な高水準だったとは言えないようだ。

財務省が29日朝に発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(週間・指定報告機関ベース)によれば、海外投資家は3月18~24日に日本株を2兆1616億円売り越した。一方、29日夕に東京証券取引所が公表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興市場の合計)では4541億円の売り越しにとどまり、売越幅には実に1兆7075億円もの乖離(かいり)が生じた。

財務省と東証の統計では、前者が市場外取引を対象とする点が大きく異なる。市場外での相対取引の規模が大きくなれば、それだけ差が開くというわけだ。実際、通常5000億円を超えると「多い」と受け止められる市場外取引の商いは19日に2兆円超まで膨らんだ。20日には深夜にかけ、値がさの主力株に海外投資家とみられる大口取引が頻発していた。

 配当金が発生する決算期末に向けては、税制上の理由から外資系証券が本国で管理していた「現物株買い・先物売り」の裁定取引の持ち高を東京支店に移す目的でのクロス取引が実施されやすい。この際、統計上で外国人として扱われる海外本店は「現物株売り・先物買い」、証券会社の自己売買部門扱いの東京支店は「現物株買い・先物売り」となる。市場では、今年もこうした経路での外国人による現物売りが出たとの見方がある。

財務省の統計が比較可能な14年1月以降でみると、東証の統計数値との乖離幅は今回の18年3月第3週が最大だが、次点は18年3月第2週、17年9月第3週、17年9月第4週、14年3月第4週と続く。3月末と9月末にかけての差が大きくなっており、今回はその傾向がとりわけ顕著に表れた可能性が高そうだ。

 大阪取引所の集計によれば海外投資家は3月第3週に日経平均先物を9週ぶりに買い越しており、年初からの売り基調に変化の兆しが出てきた。「例年4月と10月には本国口座に持ち高を戻す逆のクロス取引による現物買いや配当再投資の買いが入ることにより、海外勢は買い越しになりやすい」(東海東京調査センターの仙石誠マーケットアナリスト)。統計に表れた巨額の現物株売りを「海外勢の日本株離れ」などと真に受けすぎると、実際の需給動向を見誤るかもしれない。

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